新しく『増補 古活字版之研究』全3冊揃 が入りました!!

川瀬一馬著 1967年刊 

日本における印刷の歴史は古く、すでに奈良時代に制作された遺物が現存しています。その印刷方法については諸説ありますが、現代のような機械印刷が始まる以前には、一枚の板に文章を彫り印刷する整版印刷や、一つのブロックに一つの文字を鋳造または彫りつけそれらを組み合わせて印刷する活字印刷が主な印刷の方法でした。古くから制作されてきた印刷物の中でも、近世初頭の文禄慶長頃から始まったといわれる活字による印刷によって制作されたものを特に古活字版を呼びます。その古活字版に関する総合的な研究書が『増補 古活字版之研究』です。

著者の川瀬一馬は日本を代表する書誌学者です。『五山版の研究』『増訂 古辞書の研究』『日本書誌学之研究』など書誌学に関する大著を数々刊行しましたが、その白眉と評価して過言ではない著作が本書『増補 古活字版之研究』といえるでしょう。

上巻中巻には日本における印刷の起源から古活字版による印刷の発達が述べられ、下巻には千点を超える古活字版の書影が掲載されています。本書の前身である『古活字版之研究』は戦前に刊行されたため、戦災で失われた古典籍の書影を見ることができる点でもその価値は高い。

本書が刊行されてから既に50年が過ぎています。その間、インターネットの発達など書誌学研究を取巻く環境も大きく変化し、50年前からは想像できないほど研究環境は整ったといえるでしょう。細かい点では本書の内容よりも詳しい研究内容も発表されていますが、古活字版に関しての総合的な研究書で、その内容が本書を超える書籍は現在に至っても刊行されていません。

書誌学の研究を志す人、特に古活字版について詳しく知ろうという人には必携の文献です。

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増補古活字版之研究

 


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