最近の入荷情報。最新版!! 『中島敦全集』全4冊揃
筑摩書房 2001年刊
「山月記」「李陵」「名人傳」などで知られる作家中島敦は昭和十七(1942)年に三十三歳という若さでこの世を去りました。国語の教科書に作品が掲載されているためか、広く名前の知られた作家でありながら、生前には2冊の作品集しか刊行されませんでした。いや、文壇へのデビュー作が昭和十七年の二月に初めて文芸誌に掲載されたことを考えれば、「2冊も」というべきかもしれません。輝かしい才能が若くして失われてしまったことを惜しまずにはいられません。
現在でも多くのファンを持つ中島敦ですが、その全集は今までに4回刊行され、2001年から刊行の始まった本全集が最新のものとなります。全集類は新たに刊行されるたび新発見の資料が追加されます。本全集にも前回の全集には収録されなかった新発見のエッセイや書簡が追加されており、驚くことに新たに発見された書簡は53通にも及びます。
本全集のおおまかな内容は次の通りです。1巻小説、2巻エッセイ・習作・未定稿ほか、3巻ノート・断片・手帳・日記・書簡ほか、別巻評論・回想・同時代評・来簡・年譜。小説や書簡など作者自身の残したものが貴重なのはいうまでもありませんが、作者と同時代を生きた人々による評論や回想、作者へ送られた書簡も中島敦という作家を知るための大切な手がかりですね。
中島敦の作品が好きで詳しくその作品や人柄を知りたいという方は、ぜひ本棚にお納めください。