新入荷『ディオスコリデスの薬物誌』
エンタプライズ 1983年刊
ディオスコリデス、この名前を聞いたことがあるでしょうか。おそらく、ほとんどの人が聞いたことのない名前であると思います。一般的な知名度は高くないディオスコリデスですが、古代ローマ、そしてその後の西洋世界において大きな影響力を持った人物でした。というのも、彼の記した薬学書が、植物等の特徴、その効能、薬にするさいの注意事項など、非常に実用的な内容をもつ優れた書籍だったからです。
本書の底本は『The Greek herbal of Dioscoribis』(1934,HAFNER Publishing Company, Inc, New York)、「薬物誌」を訳した本巻と大槻真一郎による論考を収めた『ディオスコリデス研究』の2冊で構成されています。本巻の各品目にはギリシア名・学名・和名が記され、図版も豊富に挿入されています。また巻末には索引のほか、地図や単位換算表もついており、古代西洋世界に馴染みの薄い人にも配慮された書籍といえるでしょう。
古代の医学に興味がありヒポクラテスやガレノスの著作以外の本も読んでみたいという方はもちろん、動植物が好きでプリニウスの『博物誌』やアリストテレスの『動物誌』に親しんでいるという方にもお勧めです。