新着情報 『セネカ哲学全集』 全6冊揃
岩波書店 2005年刊
「われわれの享ける生が短いのではなく、われわれ自身が生を短くするのであり、われわれは生に欠乏しているのではなく、生を蕩尽する、それが真相なのだ。」
「なるほど」と頷いた方も多いことでしょう。古代ローマの人セネカの著作の中には冒頭に挙げたような警句がいたる所にみられます。その言葉を読むと、ある時は私たちの背中を押され、ある時は私たちを慰め、ある時は私たちの傍に寄り添ってくれるような気持ちになるのです。セネカの著作は多くの人々を魅了してきました。例えばフランスの思想家モンテーニュの主著『エセー』の中にはセネカの言葉が数多く引用されています。
残虐な人物として名高い皇帝ネロの家庭教師をつとめたこともあるセネカは、哲学者、作家、あるいは政治家といった様々な側面をもつ人物でした。哲学というと難しそうなイメージがつきものですが、セネカの書いた著作が取り上げる主題の中には我々に身近な問題が数多く含まれています。「幸福な生について」、「生の短さについて」といった作品のタイトルを見ても、そのことがわかるのではないでしょうか。
『セネカ哲学全集』は当店でも久しぶりの入荷となります。著名な哲学者の全集ですが市場で頻繁に流通しているものではございません。この機会に是非セネカの著作を読んでみてください。きっと得るところがあることでしょう。
（冒頭の引用は『セネカ哲学全集 1』（2005年、岩波書店）によりました。）
