新入荷!! 『五山禅僧伝記集成 新装版』
思文閣出版 2003年刊
日本を代表する禅宗史研究者である玉村竹二による大作『五山禅僧伝記集成』が入荷いたしました。
五山制度は中国や日本における寺院の格式に関する制度で、中国の南宋時代に政府が特別の保護を与え管理する五つの寺院を選定したことに由来します。日本では鎌倉時代に五山制度が採用され、京都五山(天龍寺・相国寺・建仁寺・東福寺・万寿寺)と鎌倉五山(建長寺・円覚寺・寿福寺・浄智寺・浄妙寺)というかたちで現代にも伝わっています。
漢文の素養に優れている五山を中心とした禅僧たちは、僧侶としてだけではなく、政治・文学・絵画など多様な方面で活躍しました。彼らの活動は中世という時代を知る上で無視できないものです。
本書は鎌倉時代後期(正和・文保頃)から室町時代末期(大永・天文初期)までの七百人を超える五山禅僧の伝記をまとめた一冊です。一冊の本にこれだけの伝記がまとめられている点はもちろん、各人の伝記末には「参照文献」として記事の典拠を明記している点でも学術的な価値は高いといえるでしょう。巻末には「用語解題」、「関係宗派図」、「法諱索引」なども設けられ、利用者の助けとなるよう配慮がなされています。
禅宗史に興味のある方、中世史を研究している方、五山文学を中心とした漢詩や水墨画の好きな方には大いに役立つ書籍です。