新着本!『寺院法 訳注 日本史料』(集英社)
黒田俊雄編 集英社 2015年刊
中世の寺院法に関する代表的な史料に詳細な訳注を加えた『寺院法 訳注 日本史料』が入荷いたしました。日本史を研究する上で欠かすことのできない重要な史料に緻密な校訂・注釈・解説を加える集英社の「訳注 日本史料」シリーズ中の一冊です。
「中世寺社ないしその集団が独自に法の主体として成立させた法」(本書6頁)である狭義の寺院法を対象とした本書では、個別寺院の寺院法では理解しにくい国家と仏教の全体的な秩序を概観する史料を取上げた「第一編 中世国家と顕密寺院」に始まり、以下「第二編 真言」「第三編 天台」「第四編 南都」「第五編 禅宗」という区分に沿って史料に注釈が加えられてゆきます。採録されている史料の数は170点を超えます。
全体を概観する約35ページ分の解説、史料に頭注と訳を加えた本文約800ページ分、頭注のほかに付された補注約400ページ分、そして索引が約40ページ分、合計で1300ページを超えるものとなっております。
編集開始から25年の歳月を経て、約10人の編者・執筆者が完成させた寺院法についての基礎的な研究書です。中世の寺院について研究する方はもちろん、中世史や日本仏教史あるいは法制史などに関心を持つ方にも有益な書籍でしょう。