新入荷 『ヒポクラテス全集』全3冊揃(エンタプライズ)
岸本良彦ほか訳 エンタプライズ 1985年刊
エンタプライズから全3冊構成で刊行された『ヒポクラテス全集』が入荷いたしました。
ヒポクラテスの著作とされるものは戦前から何点も翻訳刊行されていますが、なかでも最も規模の大きかった翻訳書は昭和六年(1931年)に岩波書店から刊行された今裕訳の「ヒポクラテス全集」でしょう。本書はそれ以来、約半世紀ぶりに刊行された「ヒポクラテス全集」です。
本書の1・2巻には70編を超えるヒポクラテスのものとされる著作が詳しい脚注とともに収められ、3巻には約400ページにわたる事項索引や人名索引等、また本書に記載されている学説や動植物などについての論考、古来「ヒポクラテス全集」として伝わってきた写本の文献情報などが収録されています。
翻訳の底本となったのは、1839年から刊行された、フランスのリトレによるフランス語-ギリシア語対訳の全集です。この全集がなぜ底本として選ばれたのかは編者である大槻真一郎の序文に詳しく記されています。岩波版の底本はドイツのフックスによるドイツ語訳版なので、すでに岩波版をお持ちの方も読み比べてみると面白い発見があるかもしれません。
2000年以上前の古代ギリシアに生きたヒポクラテスが、なぜ「医学の父」「医聖」などと称され現在まで尊敬の対象となっているのか。彼の著作を読んで実感してみてはいかがでしょうか。