『善導教学の研究』仕入れました!
柴山泰山 山喜房佛書林 2006年刊
中国唐時代浄土宗の傑僧、善導についての研究書である『善導教学の研究』が入荷いたしました。比較的近年刊行された密度の濃い研究書です。
善導は唐時代の中国浄土宗を代表する僧侶の一人です。唐時代というと漠然としていますが、三国志演義に登場する三蔵法師のモデルともいわれる訳経僧玄奘と同時代の人物といえば、どれくらい昔の人物か想像できるでしょうか。日本の浄土教といえば法然や親鸞が思い浮かぶことでしょう。善導の教学はこの二人に、ひいては日本浄土教に多大な影響を与えました。
いまでは一般的になっている「念仏を唱える」という言葉が示すように、念仏といえば「唱える」ものだと考える人が多いことと思います。ところが、念仏というものは仏を心に想い描くだけでよいという考え方もあり、口で唱えるという念仏の形態は善導以後盛んになりました。善導がいなければ、「ナンマイダー」という名号を耳にすることもなかったのかもしれません。そう考えると善導に親しみを感じるのではないでしょうか。
善導は日本浄土教にも大きな影響を与えたため、現在までに多くの研究がなされてきたようです。そのような状況下で、本書の著者はどのような問題意識で研究を進めたのか、今までの研究には何が足りなかったのか、これからの善導研究の問題点は何なのか。本書は善導研究者にはもちろんのこと、広く浄土教や仏教研究者にも有益な書籍でしょう。