『マラルメ全集』 新着書籍のお知らせ
松室三郎・清水徹・渡辺守章ほか編 筑摩書房 2010年刊
フランス象徴派詩人の雄、ステファヌ・マラルメの全集が入荷いたしました。詩のみならず、散文集「ディヴァガシオン」や自身が主な編集執筆を担ったモード雑誌「最新流行」への寄稿文など、マラルメの業績を網羅した、初めての日本語訳全集です。
近代フランスを代表する詩人であるマラルメは、非常に難解な作品を残したことでも知られています。今回の入荷を機に、偶々手元にあった2002年刊行の『集英社 世界文学事典』を読んでみると、次第に頭を抱えてしまいました。もしお手元に文学事典があったら、ぜひマラルメの項を読んでみてください。難解といわれる理由を感じることができるでしょう。
その難解さゆえか、本書では書簡を集めた第4・5巻以外の三巻で、作品を収録した本冊と解題・註解を収録した別冊の二冊構成となっております。例えば、詩を収録した第1巻では、本冊が約300頁であるのに対し、別冊は約700頁という分量があることに驚かされます。その解題・註解がどれほど詳細なものか、推して知ることができます。
海外文学や詩に関心のある方、特にボードレール・ランボー・ヴァレリーなどに代表されるフランス近代詩に興味のある方にはもちろん、マラルメと交流のあったドガやゴーギャンなどの絵画作品を愛好している方にも参考となる書籍でしょう。別の書籍でマラルメ作品を読んだことはあるが、途中で投げ出してしまったという方も少なくないかと思います。そのような方も、是非この機会に、もう一度マラルメの作品に触れてみませんか。