『慧遠研究 研究篇・遺文篇』2冊揃 最近の入荷情報
木村英一編 1981年 創文社
慧遠は中国の東晋時代を代表する僧侶だ。
当時著名な僧侶であった釈道安のもとで出家、後に廬山の寺に住んだことから「廬山の慧遠」とも呼ばれる。
廬山の般若台にある阿弥陀像前で、念仏実践を望む同志たちと誓願を立て結社を結び、その結社は白蓮会と呼ばれ、中国における浄土教の起こりともいわれている。
仏法を信じること篤く、ときには仏法を理由に当時の支配者にも服従しない意志を示した。そんな慧遠を慕ってか、民衆の間には仏教の教えが広まったという。
仏法の教えを守る優れた僧であったことはもちろんだが、当時はまだ十分な量の無かった経典の翻訳にも積極的に取り組み、訳経僧として有名な鳩摩羅什などとも交流を持った。
中国浄土教や漢訳仏典を研究する上で慧遠の存在は大きい。本書は、慧遠に関する日本で刊行された数少ない研究書の一つだ。慧遠に関する事柄について関心のある方には一読していただきたい書籍だ。