新商品『中原中也全集』全6巻12冊揃
角川書店 2007年刊
中原中也、明治40年、山口県に生まれる。
家は代々続く医者であったため、中也も医者になることを嘱望され育った。学業も優秀で周囲の期待に違わぬ成長ぶりを見せたが、弟の突然の死去を体験したことで文学へ目覚めたといわれる。
中学在学中、詩人の高橋新吉に影響され試作をはじめ、自身が刊行に携わった同人誌「白痴群」などを中心に自作の詩を発表した。
恋人との別れや兄弟の死など多くの不幸に見舞われた中也だが、なかでも大きな精神的打撃となったのは自身の子の死であった。
それらの心労ゆえか、体調を崩した中也は30歳という若さで人生の幕を閉じた。近代日本の詩人として五指に入るであろう人物だが、生前に刊行された詩集は『山羊の歌』一冊のみであった。
本書は、そんな中原中也の遺した数々の作品を集めた全集だ。本文の校異なども綿密に記載されているため、じっくり読めば今までとは異なる中原中也像をみることができるかもしれない。